デカさもパワーも規格外のAn-225「ムリヤ」
新型コロナウィルス感染拡大の影響をうけ、飛行機を用いた支援物資の輸送が世界中で行われています。貨物機はもちろん、旅客用機体の客室内に貨物を積みこんだ輸送も見られます。
そのようななかで、世界最大の輸送機である旧ソ連、現ウクライナ製のアントノフAn-225「ムリヤ」も2020年4月から、この任に就きました。
An-225は全長84m、全幅88.74mと、ともに世界最大級で、貨物室も長さ43m、幅6.4m、高さ4.4mのスペースを持ちます。「ジャンボ」を改造した巨大貨物機、ボーイング747-400LCF「ドリームリフター」でさえ、その大きさは全長70.66m、全幅64.47m、貨物室も長さ30m、高さ7m、幅7mといったところで、巨大さでは太刀打ちできません。
また、An-225の最大離陸重量も640tと規格外で、世界最大の記録を打ち立てています。たとえば2020年4月現在の旅客機における最大離陸重量は、総2階建て構造であるエアバスA380の560tで、An-225はこれを大きく上回ります。
こうしたAn-225の輸送力を支える、片翼に3発ずつ計6発搭載したエンジンや、また本来は旧ソ連版のスペースシャトル「ブラン」を胴体の上に積んで空輸するために作られたモデルであることから、そのスペースを確保すべく垂直尾翼が水平尾翼の両端についたH型のデザインなど、An-225はそのフォルムも特徴的です。
An-225 今回のミッションで積まれた貨物量は?
このAn-225「ムリヤ」は、巨大な積載容量から、有事の際の救援輸送などを多く担当してきました。日本への飛来はこれまで2回で、直近では東日本大震災が発生した2011(平成23)年3月25日、フランスから救援物資を搭載し、成田空港へ降りています。
アントノフによると、新型コロナ流行を受けた今回の救援輸送でAn-225は、中国の天津から、カザフスタンのアルマトゥイを経由し、現地時間2020年4月14日(火)にポーランドのワルシャワへ到着しています。約100tの医薬品や検査用試薬、医療用マスクなどの援助物資を、全スペースの6分の5にあたる約1000立方メートルに積載した輸送飛行だったそうです。
航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、An-225はこのほか天津からヨーロッパ地域へのフライトを、4月23日(木)までに2往復実施しており、いずれも救援輸送と見られます。
なお、この救援輸送に入る前、An-225は長期的な改修がなされていたそうで、現地メディアによると、フライトは2018(平成30)年10月以来とのことです。
乗りものニュース編集部
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