MMORPG「黒い砂漠」の開発元であるPearl Abyssが送り出す新作バトルロイヤル「シャドウアリーナ」はユニークな”近接型”のバトルロイヤルだ。
バトルロイヤルといえばもはや説明不要の定番ジャンルになった。ブームの火付け役になった「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」、建築という要素を盛り込むことで新しいゲームプレイを作り出した「Fortnite」、他にも「Apex Legends」、「Call of Duty: Warzone」などなど……多数のバトルロイヤルゲームが登場している。
これらのタイトルに共通するのはFPS/TPSからのバトルロイヤルというジャンルへのアプローチ、つまりは銃器などを用いた"遠距離型"のバトルロイヤルだということだ。
一方今回レポートする「シャドウアリーナ」は“近接型”のバトルロイヤルになっている。
【Shadow Arena (シャドウアリーナ) - 公式トレーラー映像】
プレーヤーは最大40人が参加する戦場に、全9種類のキャラクターの中から1体を選んで戦場に降り立ち、基本は剣や拳といった近接武器を使って戦う。弓や魔法を使えるキャラクターもいるがとても遠距離と言える射程ではなく、具体的に言うとその射程は武器を持たないキャラクターでも一気に距離を詰められる程度の射程だ。
つまりどのキャラクターを使っても近接戦闘上等、ボコボコの殴り合い勝負になるバトルロイヤルだ。シューターをベースにしたタイトルが多いバトルロイヤルの中では珍しい作品である。
近接アクションをベースにしているので遠距離型のバトルロイヤルとはプレイフィールはかなり異なる。最も近いのはMMORPGの対人戦、その中でも特にアクション要素の高いタイトルの対人戦に近い。
それもそのはず、本作のベースになったのがMMORPG「黒い砂漠」に実装されていた対人戦コンテンツだからだ。「黒い砂漠」はそのアクション性の高さからPvEはもちろんPvPも人気の作品だ。そんな「黒い砂漠」をベースにカスタマイズを行ない、直感的にゲームを始めることができるわかりやすさと、プレイヤースキルがダイレクトに反映される競技性、そして駆け引きを生む要素を盛り込んだ挑戦的な作品だ。
戦闘部分がチャレンジングな分、バトルロイヤルとしてのシステムはオーソドックスなものにまとまっている。最終CBTでは個人戦(1人用モード)かチーム戦(2人用モード)が選べた。今の所それ以上の人数のモードは実装されていないようだ。
また、マップは1種類で、他のバトルロイヤルタイトルと比較するとマップはかなり狭い。タイミングにもよるが5、6分程度で他のプレーヤーと接触するくらいの広さと密度になっている。その分安全に戦えるエリアが縮小していくのも早く、最初はゲーム開始から4分、そこから6分、8分という刻みで狭くなっていく。他のバトルロイヤルと比較すると1試合のテンポはかなり早くなっている。
それでは具体的にゲームの流れを紹介しながら、本作の魅力について語っていきたい。
わかりやすく、奥が深い。プレーヤーの腕がダイレクトに反映される対人バトルロイヤル
プレイし始めて感じたのが導入部分の容易さだ。
まずキャラクターを選択する。キャラクターによって使用する武器やスキルが異なる。アグレッシブなキャラクターはヒットポイントが少し少なめだが強力な攻撃スキルを持っているという具合で、キャラクターごとに性能がアレンジされている。共通するのは全員がバリバリの攻撃職でヒーラーやサポートのようなキャラクターは存在しないこと。9種類もキャラクターがいると悩んでしまうが、スコアがランキングに影響しない「ノーマルマッチ」やAIを相手に練習できる「AI練習戦」というモードがあるので、まずは自分の手に馴染むキャラクターをじっくりと選ぶ事をオススメする。
キャラクターを選択すると戦場に降り立つ。キャラクターの操作はWASDで前後左右に移動し、マウスのカーソルで視点を操作する。そして左クリックの通常攻撃の他に、右クリックの「固有スキル」、1~4キー、F、Q、Eキーに割り当てられているスキルを使って戦う。文章で書くとわかりにくいが、マウス操作を含めてPCの一般的なアクションゲームで使用するキー群とほぼ変わりはない。キーボード/マウスを使ってゲームをプレイしているプレーヤーならものの数十分も触ればある程度思い通りにキャラクターを動かせるようになるはずだ。
ちなみに本作は標準でゲームパッドに対応しているようだ。“ようだ”という曖昧な表現をしたのは画面に表示される操作方法はすべてキーボード準拠になっているからだ。筆者はたまたま繋ぎっぱなしにしていたゲームパッドが振動していることで気づき、実際に操作してみたところ特別な設定なしに移動や通常攻撃などの操作ができた。ただコントローラーの操作に関する情報はゲーム内では確認できなかったので、β版では正式対応ではないと思われる。そのため手探りでプレイした限りでは一部スキルの発動方法などわからない操作があったが、コンソール機のアクションゲームのようにプレイできるのでこれはこれで面白そうだ。
そして本作には装備などの成長要素があり、その部分もRPGライクである。アイテムや装備を集めてキャラクターを強くしていく要素(ファーミング)があるのだが、その要素もシンプルでわかりやすい。というのもほぼ覚えることはないからだ。
本作のファーミングはフィールド上には雑魚モンスターがウロウロと徘徊しているので、これらを倒していく。そうするとモンスターたちは宝箱を落とすのでそこからアイテムを入手するという流れになる。いちいちアイテムが多く湧く場所を覚えたりする必要はない。雑魚モンスターはそこら中に湧いているからだ。
そして入手できるアイテムは大きく装備と消費アイテムに分かれているのだが、装備も覚えることはほぼない。拾った装備が今の装備アイテムより強力だったらワンキーで装備できる。武器の名前やタイプなど細かいことは一切気にしなくてOKだ。さらに同じランクの装備を3つ集めると合体させて1つ上のランクの装備を作ることができる。これもワンキーで操作可能なので装備アイテムを拾ったら何も考えずにボタンを連打すれば自然と強いアイテムを合成し装備してくれる。
一方の消費アイテムもこちらもヒットポイントを回復するアイテム、移動速度を上げるアイテムなど1つの効果につき1つのアイテムしか存在せず、消費アイテム全体の種類は少なめになっている。例えばポーションにはランクがあって強力なポーションほど回復する……というようなややこしい要素は一切ない。
この部分が筆者が感じた「直感的にゲームを始められるわかりやすさ」だ。
だが直感的にゲームを始められる=試合に勝てるというわけではない。本作の対人戦は何よりプレーヤー自身の腕が求められる。基本操作は通常攻撃とスキル、そして移動の組み合わせだけなのだがこれが奥深いのだ。
一例を挙げると本作ではダウン攻撃が強い。一部のスキルを当てると敵をダウンさせることができるのだが、ダウン中にもガンガン追撃を入れることができ起き上がるまでの間にかなりダメージを与えられる。とは言えスキルにはクールタイムがあるため闇雲に撃ち続けることはできない。
確実にスキルを当ててダウンを取るには相手の不意をついて障害物の陰から襲うという方法もあるし、バトルロイヤルならではの戦い方としては他のプレーヤー同士が戦っているところを横から襲うという方法もある。逆に攻撃を受ける側はサイドステップなどを使って相手のスキルを外させたり、開き直って全力で逃げてしまっても良い。マップには高低差や障害物があるので、上手く隠れながら逃げると意外と逃げ切れたりする。バトルロイヤルなので最終的に生き残れば良い、逃げるが勝ちというわけだ。
これだけでも新体験なのだが、さらにゲームにスパイスを加える要素がフィールドに出現する特殊なモンスターだ。筆者が確認できたのは「影の君主」という巨大なモンスターだ。ゲームスタートから時間が経つと全プレーヤー向けに出現を告げるメッセージと出現場所が告知される。このモンスターを倒すと自分のキャラクターに強力なバフが付与されるのだ。さらに「影の君主」を倒したあとに「古代の祭壇」に行くとさらに特殊な効果を獲得できる。
強力な効果を獲得できるとなると当然多くのプレーヤーがそのポイントに集まる。そこがバチバチに火花が飛び散る激戦区になるのだ。あえて完全にスルーするのも生き残り方の1つだし、漁夫の利を狙って横取りを狙うのも良いだろう。これぞバトルロイヤルの醍醐味だ。
こういった密度の高いゲームプレイが楽しめるのだが、意外と1プレイは短い。短ければ10分足らず、長くても15分程度といったところだ。この短時間の間にファーミング、他のプレーヤーとのバトル、「影の君主」に関する駆け引きなど様々な要素が盛り込まれているので、インスタントに密度の濃いゲームプレイが楽しめる。ちなみにバトル開始から4分間は倒されても復活できるシステムになっている。こういったシステムもあり「長い時間マッチングで待ったのにゲーム開始早々やられてしまった」という“バトルロイヤルあるある”の悲しい体験を避けられるようになっているのも非常に好印象だ。
プレイして感じたのはバトルロイヤルジャンルに新しい風を吹かせる作品ということだ。特にアクションRPGの対人戦が好きなプレーヤーにオススメしたい。なぜならば普通のMMORPGで対人戦を楽しもうとするとゲームへの理解はもちろん、キャラクターのレベルを上げて、装備を整えて、スキルを獲得して……と道のりは長い。それはそれでもちろん面白いのだが、対人戦の美味しいところにたどり着くまでに時間がかかる。一方の本作は対人戦のコアな部分だけをインスタントに楽しめる“美味しい”作品になっているからだ。
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April 20, 2020 at 04:00PM
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これが新感覚の“近接型”バトルロイヤルだ!「シャドウアリーナ」最終βテストレポート - GAME Watch
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