駐機場に多くの航空機が留め置かれる異常事態。今年は航空機が排出する二酸化炭素を削減する取り組みがスタートする重要な年だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、温暖化対策は出だしからつまずく。
飛べない飛行機
羽田空港に多数の航空機が駐機されている状況を知り、航空業界が受けている打撃の大きさを思います。現在、国際線の約8割が減便を余儀なくされています。
国土交通省の航空輸送統計年報によると、旅客数は国内線、国際線ともに増加の一途です。特に、国際線は2012年度以降、7年連続で旅客数が増えていて、2018年度は2,340万人と前年と比べ4.5パーセント伸びました。
飛ぶのは恥
私だけかもしれませんが、飛行機は日常とは違う移動手段のような気がして、空港に来ると緊張感と期待感がない交ぜになります。飛行機の扉が閉まったら、次に扉が開くときは遠く離れた場所にいる。ドラえもんの「どこでもドア」とまでは言わないけれど、世界が本当に身近になりました。
一方で、世界中の空を飛び回る航空機の多さに警鐘を鳴らす動きもあります。温暖化が加速する今、航空機が排出する二酸化炭素を無視できない状況になってきたというのです。
航空機が排出する二酸化炭素は世界全体の2パーセント程度ですが、欧州では飛行機を使わず鉄道で移動しようという呼びかけが広がっています。これを「flying shame(飛ぶのは恥)」と言い、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが飛行機を避けて、ヨットを利用したことでも有名になりました。
二酸化炭素を2020年レベルに
航空業界も温暖化問題に取り組む姿勢を見せています。国際民間航空機関(ICAO)は2016年の総会で、国際航空において二酸化炭素の排出量を2020年レベルに維持するという、中期的かつグローバルな目標の達成に向けて努力することを決議しました。

国際航空の燃料消費量は旺盛な航空需要により、2045年までに2015年レベルと比較して2倍から3倍に増加すると予想されています。目標達成のためにはさらなる機体の軽量化や燃料効率の高いエンジンの開発など、将来の技術に期待する部分が大きいです。
航空会社にとって、今年は具体的な温暖化対策を求められる、重要な年となるはずでした。しかし、世界規模で広がる感染症により、航空会社は今、急激な経営悪化に直面しています。2020年以降、二酸化炭素の排出量を増加させない目標は出だしからつまずいてしまったようです。
【参考資料】
国土交通省:航空輸送統計年報の概要(平成30年度分)、2019年6月28日
一般財団法人日本航空機開発協会:民間航空機に関する市場予測 2019-2038
国土交通省:国際航空における地球温暖化対策について
国際民間航空機関(ICAO):Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation (CORSIA)
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April 04, 2020 at 09:02AM
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