「Go Toトラベルキャンペーン」の7月22日からの実施が発表されてからというもの、一部の地方公共団体の首長やネットなどを中心に、このキャンペーンの開始について疑念の声があがっている。 この記事の写真を見る 「大きなダメージを受け続けている観光業界の経済状況を考慮すれば、できるだけ早い処方箋が必要だ」「いや東京都で連日、3桁の新型コロナウイルスの新たな感染者が出ているいま、旅行するべきではない」といった結論以前に、そもそも「移動すること」によってどのくらい感染する・させるリスクがあるのだろうか。
もし移動する場合、感染のリスクを減らすためにはどのような対策が考えられるのか。「密を避ける」と漠然といわれても困るだけだろう。そこで、ここでは旅行時の移動手段での感染リスクと対策について、これまでの研究で明らかになったことなどを踏まえ、できるだけ具体的に考えてみたい。 ■機内での感染リスクは12万5000人で3例? グローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝氏(専門分野:輸入感染症・渡航医学)によると、公共交通機関で移動する際のリスクは大きく二分される。
① 移動中の会話による飛沫感染 ② 不特定多数の人が触るものによる接触感染(トイレ、荷物収容の取っ手、座席前のトレイなど) ①の飛沫感染については、2020年3月23日に神戸発那覇行きの機内で2人への感染が濃厚な事例があった。飛行機の場合、搭乗した便はもちろんのこと、座席もすべて個人特定が可能なため、陽性者が出た場合に感染経路をたどることが比較的容易だといえるが、これまでのところ国内ではクラスターが発生していない。もっとも自粛期間中は飛行機の利用客が少なく、空席が多かったことも一因だろう。
海外では2020年3月2日ベトナムで、感染者の乗客から14人の乗客と客室乗務員に感染した事例が報告されている。14人のうち12人は感染者の近くに座っていた。またIATA(国際航空運送協会)によれば、4つの航空会社に搭乗した約12万5000人を対象とした調査で、乗客の2次感染が疑われるケースが1例、乗務員の機内での感染が疑われるケースが2例あったという。 日本航空やスカイマークが一時期導入し、現在もデルタ航空などが実施している3席の中央席の予約をとらずに空けることは、感染対策としてどのくらい効果的なのだろうか。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院のアーノルド・バーネット教授(統計学)が2020年7月に投稿した論文(未査読)によれば、飛行機が満席だと仮定した場合、すぐ近くの乗客から感染するリスクは4300分の1。
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July 16, 2020 at 06:12AM
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