エレクトロニック・アーツが昨日発売開始したオンライン対戦TPS『ロケットアリーナ』。その開発元であるシアトルのゲームスタジオFinal Strike Gamesにオンラインインタビューを行ったので、その模様をお届けしよう。
本作はプレイステーション4/Xbox One/Nintendo Switchでクロスプラットフォームプレイに対応した3対3の対戦TPS。全キャラクターがロケラン(ロケットランチャー)持ちで、とにかくロケランをぶっ放しまくってお互いふっ飛ばしまくるという、ユニークなスタイルが特徴だ。
一見カジュアルだけど、慣れると空中での挙動を利用して戦うのが面白く、ミョーな気持ちよさのある本作はどう生まれて、どう進化していくのか? 新型コロナの影響下での開発はどうだったのかといった業界向けのネタも交えつつ話を聞いた。
ケビン・フランクリン
Final Strike Gamesの共同創設者にしてCEO。元『Halo 5』のマルチプレイデザインディレクター。
ダグ・バーンズ
Final Strike Gamesの共同創設者にしてCTO(最高技術責任者)。元『Halo 5』のマルチプレイのエンジニアリング担当。
マイケル・カー
本作のエグゼクティブプロデューサー。フランクリン氏とはSlant Six Gamesで『SOCOM』シリーズなどを手掛けた関係。
グレッグ・メッツラー
本作のリードゲームデザイナー。
ロケラン持ちだらけの対戦TPSが生まれた理由
――『ロケットアリーナ』のコンセプトはどうやって生まれたのでしょうか? 例えばなぜバトルロイヤルゲームではなく、ロケットを中心にしたアリーナシューターなのでしょうか?
ケビン(CEO) 『ロケットアリーナ』がこの形になるにあたって大きかったのは初期のプロトタイプです。武器はロケット限定で、現在のロケットボール(※)の原型になるモードがありました。(※戦いながらボールを相手ゴールに運ぶ球技系モード)
キャラはイゼル、ブラストビアード、ジェイトーの3人がそれぞれ近距離型・遠距離型・オールラウンダー型のモデルとしていました。そこからマルチプレイでのさまざまな人のプレイスタイルに応えられるよう、いろいろなロケットタイプを試してきました。
ダグ(CTO)マルチプレイならではの面白い瞬間が起こる空間を設計しようと思って、武器をすべてロケットだけにしてみたんです。全プレイヤーを弾頭を使う武器だけにして即着弾の武器をなくしてみたら、すぐにこれはゲームのシステム内でいろいろな面白いことができると気付きました。
遅いロケット、速いロケット、跳ねるロケット、反射するロケット、弧を描くロケットなどいろいろあることで、それぞれの戦いが生まれる。我々がキャラクターを設計する時はいつでも、まずは「どんなロケットを持っているのか?」という所から入ります。そして他キャラクターとは異なるそのキャラならではのプレイスタイルを表現できるよう探っていくんです。
ダグ(CTO)またロケットは着弾時の爆発で物理の衝撃をプレイヤーに与えますが、これが『ロケットアリーナ』をユニークにしている要素のひとつだと思います。ロケットジャンプやロケットクライム(※)といったアクションはそれが土台にありますし、また空中でふっ飛ばされないように避けるといったアクションにも繋がっています。ロケットに関するアビリティを持っているキャラクターもいますね。(※柱や壁に接近してロケットを放つことでよじ登れるという技)
『ロケットアリーナ』の戦闘は連続して弾頭を当てて、またアビリティをタイミングよく決めることで相手をマップの外に弾き飛ばすことを念頭に作られています。どうやってこのシステムで相手をKOするか、逆に避けたりアビリティを利用して復帰するかという所に戦闘の深みがあって、その上で最適なフォーマットとして一定のサイズのアリーナで3対3で戦うという方式を選びました。

間口は広く、マスターするには深く
ケビン(CEO)「死なない戦闘」は開発中に発見した重要なコンセプトです。本作でノックアウトされると飛んで戻るのですが、そこで戦況を上から見ることができます。
それとガジェットやアイテムなどもロケットと絡めたものになっています。アイテムのロケットマグネットはその代表的な例で、空中のロケットを引き寄せてディフェンスでも攻略したいポイントに置いていくのもアリなアイテムになっています。
操作をシンプルなものに留めるというのも重要な方針でした。ロケットジャンプやロケットクライムは(基本アクションの組み合わせで出せることから)新規でもプレイしやすく設計していて、しゃがみや伏せやダッシュといったシューターで一般的なアクションが入っていないのも、トリッキーなムーブなどはそれぞれのキャラクターのロケットや能力の範囲でやってもらうための意図的なものです。

ケビン(CEO) 一方で、本作の世界である“クレーター”の作りはテーマパークに影響されています。多様な場所を舞台にしたかったですし、イースターエッグを隠したりストーリーを背景で語るというのもそうですね。アニメ『テイルスピン』のレン・ユーリーがキャラクターや彼らの世界についての ストーリーを書くのを協力してくれました。各マップのサウンドは『マスエフェクト』などのジャック・ウォールがテーマ曲を書いてくれています。
ダグ(CTO)『ロケットアリーナ』において探索や発見は隠された大きなテーマで、戦いの中にさまざまなものが散りばめられています。我々のアートチームはそれらのゲーム世界の中にロケットを隠したり、バックストーリーに繋がる要素やジョークに至るまでよく仕込んでくれました。

――本作はカートゥーン的なアートスタイルを取っていて、死なないゲームデザインなども特徴的です。ハードコアというより“カジュアル”と言えると思います。それでもプレイヤーはスキルや独特な空中戦をマスターしなければなりません。ターゲットとなる層はどう考えているのでしょう?
ケビン(CEO)カジュアルプレイヤーもきちんと遊べるけどマスターしようと思えばじっくりやり込めて競争的にプレイできるゲームというアイデアは気に入っています。幅広い好みと年齢層のプレイヤーがプレイ可能なものにするというのは重要なポイントでした。結果としてあらゆる年齢層とスキルレベルのプレイヤーが面白いと感じる部分を得られるゲームになっていると思います。
運営型ゲームとしてキャラやモードなどは無料提供
――プレスイベントやテストからのフィードバックはどうでしたか? そこからの変更は何かありますか?
グレッグ(Lead Design)幸運なことに2019年に実施したクローズドβテストから十分な量のフィードバックを得ることができました。このβでは非常にいろいろなハードウェア環境のテスト結果を得られたので、マウス感度や変わったアスペクト比のサポートなどの設定周りに役立っています。
ロケットクライムなどの爆発のメカニズムについてもフィードバックがあって、ロケットジャンプなどをやりやすくするとともに、それを参考に壁から高速に降りるような逆方向の使い方もできるようにしました。これはスキルレベルの高いプレイヤー向けの技ですね。これによってマップでの移動をプレイのキーにできたと感じています。
またロケットを回避できるチャンスがもっと欲しいという声が多かったので、爆発を調整するとともに全キャラクターに回避能力をつけて、復帰用の土台などもマップに織り込んでカウンターや復帰が可能なようにしています。
このように2019年のテストは非常に有意義なものでゲームの改善に役だったので、これを正式サービス開始後も続けていきたいと考えています。
――ソフト有料+少額課金のハイブリッド型である点について説明してください。
ケビン(CEO)我々の第一の目的は、ローンチ時点のコンテンツがすべてゲームプレイを通じて得られることです。各キャラクターは100レベルの進行報酬があり、そしてコスメティック(外見カスタマイズ用アイテム)の入手に使うこともできる“ロケットパーツ”も得られます。
また運営型のゲームとして、キャラクターやアーティファクト(性能カスタマイズアイテム)やゲーム中のアイテム、マップやモードなどはすべてのプレイヤーに無料で提供されます。カスタマイズアイテムを有料ポイントの“ロケット燃料”で購入できますが、それはゲームバランスに影響を与えません。
――現在フォーカスしているモードなどはどうでしょう? プレスイベントでプレイした際はロケットボールとトレジャーハントは非常に楽しかったですが、主力モードにしてはちょっとユニーク過ぎました。ノックアウトは非常にそれっぽくまた楽しいですが、先に挙げたふたつと比べると少し普通であるとも感じました。
ケビン(CEO)プレイリストではマップとモードの組み合わせで20から30ほどのパターンがあり、プレイリストでプレイしていけばバラエティ豊かなゲームプレイが楽しめると考えています。
ランクマッチはノックアウトモードを中心においています。これは『ロケットアリーナ』の最も競技的なタイプのプレイヤーからのフィードバックに基づいています。ソーシャルプレイもランクマッチも、その内容については皆さんからのフィードバックで調整していこうと思います。
ローンチからの2ヶ月は10の新しいプレイリストと新しいモードを計画しています。シーズン1のゲームモードは爆発メーターの挙動や物理演算やプレイヤー人数などが異なる変種を生み出すでしょう。

クロスプラットフォーム対応やマッチメイキングについて
――クロスプレイやマッチメイキングがどう働くのか教えて下さい。
ダグ(CTO)『ロケットアリーナ』にはSocial・Ranked・Cooperativeの3つのマッチメイキングタイプがあります。さらにカスタムゲームとプラクティスモードがありますが、ここではマッチメイキングを説明していきましょう。
ソーシャルとランクドではプレイヤーのスキルレーティングによって組み合わせが決まっていきます。レーティングは勝ったり負けたりすることで上下します。
ランクドではあなたのプレイヤースキルが1から50までのバッジとして示されます。またランクドでは公平で競争的な戦いになるようより絞った幅でマッチングするようになっています。すべてのプレイヤーはランク1から始まり、ランクを上がっていきますが、昇段試験のような試合はありません。
ランクドでは毎シーズンこのスキルランクがリセットされますし、メタ(構成)が固定されないようマップやモード、キャラクター、アーティファクトやアイテムなどを無料で投入していきたいと考えています。
上記のすべてのマッチメイキングはクロスプレイをサポートしていますし、プラットフォームをまたいだフレンド機能やパーティー機能もついてきます。友達がどのプラットフォームでも一緒にプレイできるというのが我々のゴールです。
――『Apex Legends』ではクロスプラットフォームのマッチングをデフォルトではPC版(SteamとOrigin)と家庭用ゲーム機版(PS4/Xbox One/Switch)で分けると聞いています。またクロスプラットフォームをサポートするゲームでは「コントローラープレイヤーのみ」を希望するようなオプションがあることもあります。本作ではどうでしょう。
ダグ(CTO)『ロケットアリーナ』も似たような機能を持っています。例えば同じプラットフォームの相手を希望する場合はそれを優先するオプションがあります。コミュニティがもっとほかのマッチメイキングオプションを望むかどうかもしっかり見ていきたいと思っています。
――マルチプレイに特化したゲームスタジオのCTOとして、本作に留まらずクロスプレイについての見解を教えて下さい。現在EAはクロスプレイを予定しているゲームがいくつもありますし、他のメーカーでも増えてきました。これは新たなスタンダードと見るべきでしょうか、それとも次世代への狭間の年だから多いのでしょうか?
ダグ(CTO)FSGでは素晴らしいソーシャル体験を作り出せるマルチプレイゲームを開発しているわけですが、友達とプレイするというのは大きな要素で、 クロスプレイによって(持っているハードが違うといった)障害を減らせるのは重要です。
EAはクロスプレイについて非常に協力的で、さまざまなチームがクロスプレイ実装にあたって協力してくれました。EAのクロスプレイゲームを作るという点では、EAがすでに持っているアカウントシステムを利用できるというのも大きかったです。過去にプレイステーション4やXbox OneのアカウントをEAアカウントに紐付けたことがあれば、改めてサインアップなどをすることなくクロスプレイのマルチプレイを利用できます。
シアトルでマルチプレイ特化のスタジオをやる意味、そして新型コロナの影響
――マルチプレイのゲームを作ることがスタジオの設立趣旨とされていますが、なぜマルチプレイなのでしょうか?
ダグ(CTO)はい、我々はマルチプレイゲームを作ることを使命としているチームです。プレイヤーを繋げるソーシャルで競争的なゲームを楽しんでいますし、それが『ロケットアリーナ』でクロスプレイを実現した大きな理由でもあります。
チームとしてゲームを共に作って楽しむことが好きですし、マルチプレイゲームで現実のプレイヤーに対してチームとしてプレイした時のみに起こるエキサイティングな瞬間を、うまくいった時だけでなくしてやられた時も楽しんでいます。
ファンを楽しませ喜ばせるマルチプレイゲームを作ることが我々のゴールで、つい「あともう一試合」 と言って戻りたくなるあの感じを作り出したいと思っています。
『ロケットアリーナ』は開発初日から専用サーバーでプレイするよう開発され、現実世界にあるサーバーで実際にテストしてみて『ロケットアリーナ』の通信部分をチェックするのを重視してきました。マルチプレイにフォーカスしたスタジオであることがハイクオリティなオンラインシステムを作り上げることに注力させてくれましたね。

――ところで、シアトル にスタジオを持つメリットとは?
ケビン(CEO)この一帯にはたくさんの偉大なゲームスタジオがあるので、非常に大きなゲーム開発コミュニティがあって、優秀な開発者たちがいるということが挙げられます。また通常であれば巨大なゲームコンベンションであるPAX Westが行われるというのも、ファンとの交流や直接フィードバックを貰える場という点で大事なポイントです。
スタッフの多くは『Halo』シリーズを開発する343 Industriesのマルチプレイチームで働いていた経験があり、スタジオ開設以前からすでにこの地区に住んでいたりもします。少し足を伸ばせばハイキングやスキーなどを楽しめるというのもシアトルのありがたい部分ですね。
――この新型コロナウィルスの影響下でスタジオの最初のゲームをローンチするのはどれぐらい大変でしたか?
ケビン(CEO)COVIDはどこで働いているかに関わらず、あらゆるスタッフのすべてのことに影響しましたね。自宅から働くことを余儀なくされながらも、こうしてプレイヤーに新たなエキサイティングな体験を届けられるレベルまで仕上げてきたスタッフを誇りに思っています。またスタジオに集まって働ける日が来るのを願ってやみません。
またEA Originalsとの素晴らしいパートナーシップを結べたのは幸運な点でした。それによって『ロケットアリーナ』を我々が非常に誇れるものにするための機会とリソースが得られましたし、ともにプレイヤー第一という考えをもって開発してくることができました。クロスプレイについても支援してもらえましたし。
ロックダウンの間、Discord(オンラインチャットサービス)でファンとやり取りできたのも非常に嬉しかったですね。
開発チームの好きなキャラ
――好きなキャラクターはなんでしょう?
ケビン(CEO)スナイパーロケットのファンなのでブーンですね。空中でスナイプを決めたり、反射でラッキーショットが決まったりすると最高です。彼のワールドも非常に面白くて気に入っています。
ダグ(CTO)私はイゼルですね。彼女はジェムストーン・ジャングルからやってきた激しい競争相手です。ボラスネアはいろんな使いみちがあり、相手を引き寄せて強烈な一撃を与えます。また強力なチャージ攻撃はメガブラスト(ふっ飛ばし)を決めるチャンスです。
マイケル(Prod)自分はモードによっていろいろな キャラを使います。メガロケットではトップノッチで他プレイヤーを排除していきます。テレポーターで広範囲をカバーできるプリンクはトレジャーハントにいいですね。レヴはノックアウトでオフェンシブに行く時に最適です。
ロケットボールで1キャラを選ぶならイゼルになるでしょう。彼女のスキルセットは他のモードでも役立ちますが。彼女はコスチュームのバリエーションも気に入ってますし、ジャック・ウォールによるエメラルドジャングルのテーマも好きな曲の一つです。
グレッグ(Lead Design)アンフォラはオールラウンダー的にいろいろできるので好きなキャラクターです。攻撃でもいけますし、特殊スキルのハイドロフォームは移動の面でもコンボの可能性でも面白いことができます。
アンフォラと適切なアーティファクトを組み合わせると非常に脅威になりえます。自分が気に入っているのは復帰時の防御がキャンセルできなくなるフローズン・バブルのアーティファクト、回復が始まるまでの時間を減らすロケットラジオ、バスティオンベルなどです。装備と能力を組み合わせることで非常に楽しくプレイできます。
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July 15, 2020 at 10:00AM
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